建物のオーナーや管理者の方の中には、消防署の立入検査を受け、「立入検査結果通知書」をもらったことがある方もいるのではないでしょうか。
この立入検査と消防点検って何が違うの?と疑問に思ったことがある方も少なくないでしょう。
今回は、立入検査と消防点検の違いについて紹介したいと思います。
消防署による立入検査の目的
消防署による立入検査は、消防法第4条で以下のように定められている、いわば抜き打ちチェックのようなものです。
第四条 消防長又は消防署長は、火災予防のために必要があるときは、関係者に対して資料の提出を命じ、若しくは報告を求め、又は当該消防職員にあらゆる仕事場、工場若しくは公衆の出入する場所その他の関係のある場所に立ち入つて、消防対象物の位置、構造、設備及び管理の状況を検査させ、若しくは関係のある者に質問させることができる。
消防用設備は適切に設置・維持・メンテナンスが必要であり、消防点検は半年に1回実施し、年に1回もしくは3年に1回実施が必要と消防法で定められています。
-
-
消防法第17条の3の3
建物のオーナーや管理者の方の中には、消防署から「立入検査結果通知書」が届き、 「消防用設備等の点検を実施しその結果を報告すること(未実施)(法17条の3の3)」 という文言を見たことがある方も少なくな ...
続きを見る
そのため、違反がないかどうかを確認し、あれば是正する目的で実施されるのが立入検査です。
立入検査の内容
立入検査の内容には以下のようなポイントがあります。
- 消防用設備が適切に設置されているか?
- 避難経路は確保されているか?
- 避難訓練はされているか?
- 点検を実施し、定期に報告しているか?
- 避難訓練はされているか?
あくまでも消防署は是正措置命令を出すのみで、是正措置(消防点検含む)は行いません。行う義務があるのはオーナーや管理者等です。
立入検査によって指摘を受けた場合
もし立入検査によって指摘事項があった場合、建物のオーナーや管理者宛に以下の様な「立入検査結果通知書」が届きます。
消防本部によって書式が異なります(※上記は大阪市消防局管轄のもの)。
上記の立入検査結果通知書には、所轄消防署の予防担当者が立入検査をした結果、不備欠陥事項として以下の二点が挙げられています。
立入検査で発覚した不備欠陥事項
- 消火器具の設置場所に標識を設けること
- 消防用設備等の点検を実施し、その結果を報告すること
この2⃣に該当するのが、消防点検業者が消防法第17条の3の3に基づいて実施する消防用設備点検になります。
もし是正措置を怠った場合、罰則を受けることにもなりかねません。
-
-
消防点検を怠った場合の罰則
消防点検は、半年ごとに実施が必要ということは、他のコラムでも紹介してきました。 ※詳しくはこちらも参照ください。 では、もし消防点検を怠ったら、どのような罰則があるのでしょうか? Con ...
続きを見る
まずは、立入検査があっても指摘を受けることがないよう、日頃から定期的にきちんと消防点検を実施しておきましょう。
消防点検と改修について
立入検査で指摘を受け、消防点検を実施した場合でも、指摘事項以外に不備が見つかる場合があります。
点検を行うだけでは是正できたとは言えず、改修・修繕まで行って初めて完了です。
不備が見つかった場合、消防用設備の改修工事ができる業者さんに見積をもらい、依頼するのがオススメです。
改修工事業者を選ぶコツ
ここで注意しておきたいのは、消防点検を依頼したのと別の業者さんに改修を依頼をする場合、不備の内容を共有したり、現地を見に来てもらう等の手間が発生します。
場合によっては、現地調査費用などの追加料金が必要な場合もあるでしょう。
そのため、改修が必要になった場合のことを想定し、消防点検は消防用設備の改修工事もできる業者さんを選ぶことをお勧めします。
-
-
消防点検業者を選ぶコツ
消防点検を実施しなければならないのは分かっているけど、どこに頼めば良いのか分からない・・・というオーナーや管理者の方も多いと思います。 そこで今回は、私が実際に色々な点検業者さんを見て経験したこと等を ...
続きを見る
まとめ
- 立入検査とは、消防署が行う抜き打ち検査のこと
- 消防署は是正事項を指摘するのみで、消防点検などの是正措置を行う訳ではない
- 立入検査を受けても指摘を受けることがないよう、日頃から定期的に消防点検を実施しておかなければならない
- 立入検査及び消防点検によって不備が発覚した場合は、速やかに改修を行わなければならない
- 改修が必要になった場合を想定し、消防用設備の改修工事もできる業者さんに消防点検を依頼すると良い