消防点検は、消防法に基づいて行われています。
では、消防法とはそもそもどのような法律なのでしょうか?
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消防法で規定されていることは?
第1条 消防法の目的
消防法の第1条に、消防法を定める目的が書かれています。
第一条 この法律は、火災を予防し、警戒し及び鎮圧し、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、火災又は地震等の災害による被害を軽減するほか、災害等による傷病者の搬送を適切に行い、もつて安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資することを目的とする。
つまり、ざっくりというと「生命と財産を火災から守り、安心安全な生活を送るため」の法律と解釈することができます。
以下消防法は第46条までありますが、その中で何が定められているか、抜粋して紹介します。
第8条 防火管理者について
病院や工場、百貨店など、不特定多数の方が利用する場所において、「防火管理者」という防火の責任者が選任されているのを聞いたことはありませんか?
主にその建物での長である方が防火管理者に選任されることが多いのですが(選任条件あり)、この防火管理者は、消防法第8条に基づいて選任されており、誰を定めたか等を消防署にも報告をしなければなりません。
具体的な業務としては、以下です。
- 消防計画の作成
- 防火管理台帳の作成
- 消防訓練の実施
- 消防用設備等の点検・整備
- 火気取り扱いの監督 ...etc
このように、防火管理者に選ばれた方は、法律に基づき、責任をもって業務を果たさなければなりません。
第17条 消防用設備等について
消防用設備等の設置や点検については、消防法第17条で定められています。
特にこのサイトで取り上げている消防点検については、第17条の3の3で規定されています。
以下コラムもあわせてご参照ください。
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消防法第17条の3の3とは…?
建物のオーナーや管理者の方の中には、消防署から「立入検査結果通知書」が届き、 「消防用設備等の点検を実施しその結果を報告すること(未実施)(法17条の3の3)」 という文言を見たことがある方も少なくな ...
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なお、ここでは詳しく取り上げませんが、危険物の取扱についても、消防法では定められています。
消防法の体系は?
消防法は「法律」です。実は、消防用設備にかかわる法令は、この法律以外にも様々なものがあり、以下のようなピラミッドになっています。
このコラムで取り上げている「消防法」は、法律であり、国会で定められています。
そのため、細かなことまでは定められていません。
内閣が発令する「消防法施行令」では、主に以下のようなことが定められています。
- 消防用設備に関する技術基準
- 救急業務
- 消防設備に関する検査等 ...etc
また、省の大臣が発令する「消防法施行規則」では、主に以下のようなことが定められています。
- 消防法施行に必要な防火・消防管理者
- 消防計画等の届出
- 消防用設備等の設置
- 維持の技術上の基準 ...etc
つまり、法律では言及されていない細かなルール等を決めているのが施行令や施行規則と考えると良いです。
さらに、各市町村が定める「火災予防条例」やその「施行規則」では、各地域の状況にあわせた独自のルールが定められている場合があります。
このように、「消防法」の下には、細かい命令や規則などがあり、これらは全て消防法の一部として順守する必要があります。
市町村によって消防法は異なる?
上の法令の仕組みでも紹介しましたが、実は市町村が発令する「火災予防条例・火災予防条例施行規則」の内容によっては、
市町村によってルールが異なる場合があります。
そのため、「○○市の消防署はこう言っていたが、▲▲市の消防署からはこう指導された」といったように、消防署によって指導内容が異なることがあり得ます。
もし、上記のような経験をされた場合は、消防署が間違っているのではなく、市町村によって制定された条例に基づいた指導となっていることを知っておくと良いと思います。
まとめ
- 消防法は、生命と財産を火災から守る目的で、防火管理者や消防用設備等、危険物について定められている。
- 消防法は、施行令や施行規則、市町村の火災予防条例等の法令があり、広義の消防法として全て順守しなければならない。
- 市町村ごとに定められる火災予防条例等により、市町村ごとに消防法が異なる場合がある。